04 車体更新車(B修車)


いわゆる大規模車体更新車のことをB修車と呼んでいる。

営団時代より、製造後20年を経過した車両から順次車両の更新を行う方針を取っており、8000系も2004年から通称「B修」と呼ばれる更新が開始された。
実施期間は10年にわたり、2015年の第10編成出場をもって全編成が完了となった。

なお、冠されているアルファベットは更新内容を示すもので、10〜15年で行う簡易的な内容の更新は「C修」と通称される。
これは過去1,2次車のみに施工された経歴がある。

 

(8107−2009.02)

半蔵門線の車両は通常、東急線の鷺沼駅に併設されている車両基地で検査や整備が行われているが、車体更新は有楽町線の新木場検車区に併設されている新木場CR(Car Renewal)に回送されて行われる

東京メトロ線の主要な車両改造は新木場CRで行われており、半蔵門線に限らず時期により様々な車両が入出場する。通常の検査や整備とは異なった性格を持った施設といえる。


B修は客室内は勿論、制御装置を含む電装品の更新など幅広い内容となっており、近年では冷房装置の更新も併せて行われる傾向にある。

 

(入場中の第07編成−2008.10)


【更新内容】

先行して行われていた千代田線6000系の内容をベースとして更新が行われており、具体的な更新内容は以下のようなものがある。

・制御装置・電装品更新

従来のチョッパ制御からVVVFインバータ制御とし、併せてMT比を6M4Tから5M5Tとしている。

・補助電源大容量化

従来CT車およびM2車に搭載されていた補助電源(DC/DCコンバータ・MG)をSIV化し、第5,6車両に集中架装とした。


・戸閉装置の間接制御化

車掌スイッチなど装置の無接点化。

・大型窓を持つ客用側引戸化および乗務員用側開戸の交換

閉そく感のある小窓をなくし、拡大単層窓を用いて新車両と同様の見附としている。

・冷房装置の更新

冷房装置は従来より容量のアップが行われているほか、キセ内に車外スピーカを設置している。


・屋根補修及び通風口撤去(1〜3次車)

絶縁材の再塗布を実施している。
屋根布車は屋根布を廃し、絶縁材へ変更している。

・車内アコモデーション更

化粧板、床敷物が交換され、新車とイメージを近づけている。

・車椅子スペース設置(第3,9車両)

一部の座席をなくし車椅子スペース化、対話式非常通報装置を新設している。

・車内表示機及びドア開閉チャイムを設置(千鳥配置)

当時の新車の水準に合わせてLEDを使用した案内装置を設置、ドア開閉時にはチャイムが鳴動する。

・非常通報装置の対話式化

従来は通報機能しかなく、乗務員室でも通報車両しか分からなかったが、客室と乗務員室間での通話が可能な対話式通報装置に変更している。

・車外スピーカ設置

更新された冷房装置内に車外スピーカを設置し、従来第10編成しか機能の無かった車外放送、および乗降促進放送を流すことが可能になっている。

・簡易運転台装置及び妻面ステップの撤去

分割運転用として車両に搭載されていた簡易運転台を可搬式に変更している。




なお、更新時期が長期にわたっている為、編成によっては以下の内容に変更となっているものがある。


・袖仕切りの大型化、スタンションポールの設置

座席端の袖仕切りを大型化し、立客との仕切り面積を増やしている。スタンションポールは7人掛け座席2箇所に設置。

・LCD画面の設置

LED方式の車内表示器からLCD画面を使用した案内装置に変更し、内容の拡充を行っている。


・出入口識別板の設置

乗降時、出入台の車両端が識別しやすいよう設置。




【更新時期による車内の変容】



2004年度に出場した初期のB修車(上)と、2012年度に出場した最終期のB修車(中)の車内。
改造年数が10年近くにわたっているため、時期によって様々な違いが見られる。

(上:8803−2009.05 / 中:8712−2021.02)




なお、現在では初期B修車にもスタンションポールやLCD画面の設置など、後期B修車に準じた追加改造が行われており、すべてではないが一部の内容で仕様が合わせられている(下)。

(下:8109−2021.05)