18 妻面昇降ステップ


妻面に設置されている屋根上昇降用のステップは、次車により取付車両や取付場所に違いが見られる。

妻面に転落防止ほろが設置されて以降は、ステップの形状変更や撤去したケースが見られたほか、
B修以降も形態にかなりの違いが見られる為、編成ごとの形態差を以下3つの時期で分類した。



【1.新製時〜転落防止ほろ設置前】

以下3パターンがある


(1)1,2次車編成 (第01〜09編成)

→設置箇所 第1,2,4,7,8,10車両
1,2次車では、各先頭車の運転席後位の妻、第2,4,8車両(M1車)の両妻に対角に取り付けられている。
これに加えて、次車にかかわらず第7車両(T2車)の1端寄り妻の両側に取り付けられている。


(2)3,4次車編成 (第11〜19編成)

→設置箇所  第1,5,7,9車両
3,4次車では1,2次車の妻に対角で設置するスタイルをやめ、片妻の両側に取り付けるスタイルに変更された。
位置としては第1車両の2端側妻、および第5,7,9車両の1端側妻に取り付けられている。


(3)5次車編成 (第10編成)

→設置箇所 第1,3,5,7,9車両
5次車では再び取付位置が変わっている。
第1,5,9車両については3,4次車と同一の位置となっているが、このほかに第3,7車両の妻の4箇所すべてに取り付けられている。

令和3年現在も原型ステップが残っている第05編成。
当初、転落防止ほろの形状がこの編成のみ異なっており、それが現在も原型ステップのままとなっている理由と考えられる(後述)。

原型は窓にかかる部分のみ小さめの形状、それ以外の箇所はコの字型である。

(3枚とも:8805−2021.03)



【2.転落防止ほろ設置後〜B修前】


2001年頃より転落防止ほろが取り付けられた事に伴い、ステップの形状変更や撤去が行われるようになった。
これは曲線通過時などで、ステップと転落防止ほろが干渉し破損する事を防ぐ為であったと考えられる。

まとめると以下のような変更内容になっている。


(1)一部のステップ形状を変更

 転落防止ほろと干渉する位置のステップを、干渉しないよう形状変更した。
   ・第01〜04 および 06〜09編成:第2,4,8車両
   ・第10〜19編成:第1,5,9車両



(2)一部のステップを撤去

 (1)の形状変更した箇所以外は、転落防止ほろと干渉する位置のステップを撤去した。



この変更により、昇降に使用できるのは(1)の箇所のみとなり、(2)の箇所の昇降は事実上不可能である。
組み合わせにより形態としては4パターンに増えたが、編成ごとにばらつきのあった昇降可能位置は概ね2パターンに揃えられた格好になった。

なお、第05編成は転落防止ほろの形状が異なっていた為か、上記の変更パターンには該当せず、第3車両と連結している側のステップ各1箇所の形状のみ変更したにとどまっている。
そのため、第05編成は殆ど原型ステップを残す変則的な形態で後年まで残ることになる。


調査:2009年


(1)一部ステップ形状変更

転落防止ほろと干渉する部分(3箇所)が内側へ飛び出た格好になっている。

(8202−2008.09)

上が原型まま、下側が形状変更したステップ。

取付位置は変わっておらず、ステップを内側に寄せた形状のものに変更している。

(8112−2008.10)

1,2次車の第2,4車両のうち、第3車両に面する側のステップは1箇所のみ形状変更がされており、それ以外の箇所は原型のままになっている。

これは第3車両のIRアンテナを避けて小型の転落防止ほろが設置されている関係で、干渉する部分が1箇所のみである為と考えられる。

(8409−2021.02)


車両内側から見ると、転落防止の位置にある1箇所のみ形状が変わっている事が判る。

(車号不明−2021.03)


(2)一部ステップ撤去

転落防止ほろと干渉する部分(3箇所)を撤去している。

実質この車両のステップは使用されていないものと考えられる。

(8515−2008.10)

(1)の車両では形状変更されていた箇所が、この車両では撤去されている。

(8719−2008.10)




【3.B修後〜】


B修に伴い再びステップの整理が行われた。
ただし、編成ごとに内容が異なっており、形態的にはかえって複雑になっている。
内容を整理すると以下の3パターンとなるが、形態的には6パターンとなった。


(1)一部のみ撤去していた箇所のステップを完全撤去したケース


 B修前における(2)の箇所のステップを、一部だけでなくすべて撤去した
   ・第01〜04,07〜10,11〜15,17,19編成



(2)第1,9車両以外の箇所のステップを完全撤去したケース

 (1)の箇所に加えて第5車両のステップもすべて撤去した
   ・第16,18編成



(3)変更なし

 B修前の状態から特に変更がない
   ・第06編成


第05編成に関しては(1)のステップ配置に近い形で撤去が行われている。
ただし、撤去箇所以外の変更はなされていない為、第3車両と連結している側のステップ各1箇所み移設、それ以外は原型ステップのままの点はB修前と変わっていない。


調査:2021年

B修によって全てのステップを撤去した例。

第7車両は殆どの編成で全箇所撤去されている。

(8703−2008.10)

1次車。

撤去されているのは妻面、下部の足掛け部分で、屋根上については残されていることが判る。

(8105−2021.03)

5次車。

8310号車は唯一第3車両にステップがある車両であった(右)が、他車と同様にB修時に全箇所撤去された。

(8310−左:2021.02 / 右:2002.12)


8310号車のステップ部分。

IRアンテナとステップはかなり接近した位置に取り付けられていたことが判る。

(8310−2021.02)

第06編成はB修後も特に変更がなく、転落防止ほろに干渉しない部分のステップが残存したままになっている。

(8706−2021.03)