各年ごとの変遷と全列車の概要

 

まだ不明な部分もありますが、現時点で判明している限りの花火ライナー全列車の記録です。

歴代の花火ライナーについて、充当編成・運行番号・ヘッドマーク等の情報を分かる範囲でできる限りまとめました。

 

【基本情報】

・丸ノ内線内ではドアの開閉は各車中央の1箇所のみであり、ドアコック開放による手動開閉としていた。
 これは銀座線の車両寸法の方が小さいため、安全性を考え乗降ドアを限定したためによる。

・車内の案内は車掌とは別に専任の女性職員(銀座線の車掌のほか他駅や関係部署の職員と思われる)が添乗して行われた。

・各列車の浅草駅到着後は、そのまま折返しを行い銀座線内の運用に組み込まれた。
 また、車外の装飾は花火大会終了後も基本的に1か月程度はそのままの状態とされ、銀座線での通常運用に就いていた。

・運用には当時の最新編成を優先的に充当していた。これは冷房車による運行をアピールする目的があったものと思われるが、
 当時の新車からLED式の行先表示器が搭載されたこともあり、後年これを使用した愛称表示へ繋がったものと考えられる。

特徴ともいえるヘッドマークは、各列車ごとにデザインの異なる花火をイメージしたものが用意された。
 いずれも電飾が施されており、細部を見るとそのほとんどは手製(職員が制作?)のようである。

・車内外の装飾は実施年により若干違いがあるが、全運行編成のうち1編成のみに行われているケースが多数である。
 これは車内広告等の内容を見るに、特に外板(窓)装飾のあった編成はUライナーの一種としてスポンサー付きで運行していたのではないかと考えられる。

 

 

丸ノ内線内では各車1箇所のみドアを開閉する。各駅にはプラカードを掲げた職員により乗車位置の案内が行われた。

 

歴代花火ライナーの概要

 

平成4(1992)年

開催日

7月25日


1号
2号
3号
運行番号
02
04
06
荻窪 発
16:07
16:39
17:10
浅草 着
17:00
17:30
18:00
停車駅
中野坂上・新宿・虎ノ門からの各駅
編 成
34編成
35編成
36編成
行先表示
行先のみ表示
ヘッドマーク
1星タイプ
電球点滅
3星タイプ
車体装飾
ドア横にデザインステッカー

出典:メトロニュースNo.186(帝都高速度交通営団)

 

記念すべき最初の運行は平成4年で、本年より花火ライナーの歴史がスタートした。
また、これまで銀座線と丸ノ内線を営業列車が直通した事はなかった為、新年の新春ライナーにも繋がるこの運行形態も本列車が初となった。

車体は装飾が行われ、各車の中央扉向かって左側戸袋に愛称と花火や夜空をイメージさせる抽象的なデザインのステッカーが貼り付けられた。

ヘッドマークは、1号では花火の星をイラストにより1つ描いたタイプが使用された。
この“1星タイプ”は背景の色違いで2種類あり、1号車が黒背景、6号車が青背景のものが取り付けられた。

1星タイプ/黒背景 1星タイプ/青背景


2号では、電球の点滅により花火の爆発の様子を再現する、非常に凝ったヘッドマークが取り付けられた。
この“電球点滅タイプ”についても色味の違いで2種類あり、1号車が青系、6号車が赤系のものとなっている。


出典:メトロニュースNo.222(帝都高速度交通営団)

複雑な点滅を行っていた電球点滅によるヘッドマーク。青系と赤系の2種類があり、画像は赤系。


3号では、1号で使用されたイラストと同じイメージのもので花火が3星になった豪華なものが使用された。
このタイプについてもデザインが微妙に異なっており、星の尾が細いタイプが1号車に、太いタイプが6号車に取り付けられた

3星タイプ/星の尾が細いタイプ

 

3星タイプ/星の尾が太いタイプ

 

 

 

ヘッドマークの一部は運行が終了した現在でも保管されているようで、鉄道関係の展覧会や地下鉄博物館の企画展で見る事ができる可能性がある。

 

特別展 天空ノ鉄道物語(2019年)

 

 


 

平成5(1993)年

開催日

7月31日


1号
2号
3号
運行番号
53
65
69
荻窪 発
16:07
16:39
17:10
浅草 着
17:00
17:30
18:00
停車駅
中野坂上・新宿・上野からの各駅
編 成
33編成
34編成
35編成
行先表示
愛称・行先の交互表示
ヘッドマーク
大型
表示器
3星タイプ
電球点滅
3星タイプ
電球点滅
車体装飾
車体全体に装飾(1,3号)

出典:メトロニュースNo.198(帝都高速度交通営団)

前年と比べ停車駅が変更となり、銀座線内も通過運転を行うように改められた。
新宿から上野まで無停車という思い切った内容となったが、運転時分に大きな変更はなかったよ
うである。

ヘッドマークについては、前年ではある程度デザインと車両を揃えていたが、本年では2号、3号では前後でデザインが異なったものが取り付けられた。
また、1号では大型のLED表示器に花火のアニメーションを表示させるものが新たに登場した。



大型表示器を使用したヘッドマーク

また、前面行先表示器に「花火ライナー/浅草ゆき」の愛称(固定交互)表示を行うようになった。

車体装飾については、1号と3号は車体全体に大きな巴模様のデザインが貼り付けられ、非常にインパクトのある姿になった。
2号は前頭部の部分装飾のみであったが、ここまで大規模な装飾は花火ライナーの歴史の中でも本年のみである。

 

 


 

平成6(1994)年

開催日

7月30日


1号
2号
3号
運行番号
不明
55
不明
荻窪 発
16:07
16:39
17:10
浅草 着
16:55
17:27
17:58
停車駅
中野坂上・新宿・上野からの各駅
編 成
不明
35編成
不明
行先表示
愛称表示(固定・スクロール)
ヘッドマーク
不明
電球点滅
(6号車)
不明
車体装飾
窓ガラスに装飾

出典:メトロニュースNo.210(帝都高速度交通営団)

 

停車駅に変更はないが、運転時刻が前年より短縮された。これは旧型車の置き換えと保安装置の更新によりスピードアップが実施された為と考えられる。

前面行先表示器に「花火ライナー/浅草ゆき」の愛称(固定交互)表示に加え、列車の案内をスクロール表示するようになった。

表示内容は「花火ライナー/浅草ゆき/この電車は、花火ライナー○号 浅草ゆき For Asakusa

ヘッドマーク:表示器のアニメーションが変更

車体装飾については、窓ガラスに朝顔やかき氷などのイラストが貼り付けられた。

 

 


 

平成7(1995)年

開催日

7月29日


1号
2号
3号
運行番号
53
55
57
荻窪 発
16:18
16:49
17:21
浅草 着
17:06
17:37
18:09
停車駅
中野坂上・新宿・上野からの各駅
編 成
33編成
35編成
34編成
行先表示
愛称表示(固定・スクロール)
ヘッドマーク
1星タイプ
3星タイプ

表示器

車体装飾
乗務員室背後・窓ガラスに装飾

出典:メトロニュースNo.222(帝都高速度交通営団)

 

運転時間が再び変更され、若干後ろ倒しになっている。

ヘッドマークについては、1号・2号は例年登場している1星タイプと3星タイプ、大型のLED表示器の3種類である。

なお、1星タイプは1号車が青背景、6号車が黒背景のものである。

車体装飾については、乗務員室背後の戸袋に大型のステッカーが貼り付けられたほか、あじさい・星座などをモチーフにしたイラストが貼り付けられている。
なお、戸袋のステッカーは蝶のイラストで、全編成共通のようである。


戸袋の大型ステッカー


記念メトロカード

開催記念柄のメトロカードは毎年発売されていたが、本年に限っては花火ライナーの写真も掲載された。
車両は撮影用に仕立てたと思われる29編成で、装飾とヘッドマークが取り付けられている。

 


 

平成8(1996)年

開催日

7月29日


1号
2号
3号
運行番号
57
59
61
荻窪 発
16:14
16:50
17:26
浅草 着
17:04
17:40
18:16
停車駅
中野坂上・新宿・上野からの各駅
編 成
35編成
37編成
不明
行先表示
愛称表示(固定・スクロール)
ヘッドマーク
1星タイプ
表示器
(6号車)
不明
車体装飾
窓ガラスに装飾

出典:メトロニュースNo.234(帝都高速度交通営団)

時刻は若干の変更があるがほぼ同じ。運転時分が全体で2分ほど延びている。

ヘッドマーク:1星タイプは1号車が黒背景、6号車が青背景のものであり、昨年までと逆転した。

車体装飾については、窓ガラスにかき氷、あじさい、うちわ等のイラストが貼り付けられている。

また、本年は発車に際し荻窪駅で発車式が行われ、1号発車時に1日駅長によるテープカットが行われた。

 

 

 


 

平成9(1997)年

開催日

7月27日(26日から延期)


1号
2号
3号
運行番号
57
59
61
荻窪 発
16:14
16:50
17:26
浅草 着
17:04
17:40
18:16
停車駅
中野坂上・新宿・上野からの各駅
編 成
32編成
34編成
35編成
行先表示
行先のみ表示
ヘッドマーク
1星タイプ
ホログラム調
3星タイプ
車体装飾
窓ガラスに装飾

 

運転時間は昨年と同様となっている。

行先表示は駅名のみの表示であり、愛称表示やスクロール表示は行わなかった。

これは本年の花火大会が雨天により翌日に延期された関係で、表示器のプログラム書き換えを取りやめた(または当日限定で書き換えの予定であった為に翌日には通常の内容に戻された)のではないかと推測される。

ヘッドマーク:2号で使用されたものはLEDとホログラム調のパネルにより水面と花火をイメージしたもので、前後ででデザインが異なっている。


本年から登場したヘッドマーク。華火ライナー(後述)と共通で使用された。
なお、赤字の側が1号車、黄字の側が6号車となっている。

黄字の側のデザイン(実際の画像がないためイメージ)

車体装飾については、窓ガラスにイラストが貼り付けられている。

2号に用いられた34編成のみ、乗務員室背後の戸袋に愛称をデザインしたステッカーが貼り付けけられた。

 

出典:メトロニュースNo.246(帝都高速度交通営団)


 

【華火ライナー】


開催日

8月9日(中止)

編 成
34編成
ヘッドマーク
ホログラム調

 

本年より新たに「東京湾大花火祭」の開催に伴った装飾列車「華火ライナー」が銀座線・日比谷線・有楽町線の3路線で行われるようになった。

銀座線においてはヘッドマークの取り付けや装飾を施した列車を、通常の運用に組み込んで運行した。

装飾については花火ライナーで使用していた編成(1編成)を装飾そのままに充当し、ヘッドマークについても花火ライナーで使用しているものの愛称名のうち、「花」を「華」に変更したものを取り付けて運転した。

ヘッドマーク(実際の画像がないためイメージ)

ヘッドマーク:花火ライナー2号で使用したもので、赤字の側が1号車、黄字の側が6号車となっている。

なお、花火大会自体は強風の影響により中止となった。


 


 

平成10(1998)年

開催日

7月25日


1号
2号
3号
運行番号
57
59
61
荻窪 発
16:22
16:58
17:34
浅草 着
17:10
17:46
18:22
停車駅
中野坂上・新宿・溜池山王からの各駅
編 成
36編成
37編成
38編成
行先表示
愛称表示(固定・スクロール)
ヘッドマーク
1星タイプ
ホログラム調
3星タイプ
車体装飾
窓ガラスに装飾

出典:メトロニュースNo.258(帝都高速度交通営団)

運転時間:前年と比べ若干後ろ倒しになっている。また、停車駅が見直され、前年に開業した溜池山王より銀座線内は各駅停車となった。

行先表示は再びスクロール表示となった。

ヘッドマーク:2号で使用されたものはLEDとホログラム調のパネルで水面と花火をデザインしたもので、同イメージながら前後でデザインが異なっている。

車体装飾については、窓ガラスにイあじさい・風鈴などのラストが貼り付けられている。

 


 

【華火ライナー】


開催日

8月8日

編 成
37編成
ヘッドマーク
ホログラム調

 

東京湾大花火祭の開催に伴う「華火ライナー」については本年も日比谷・有楽町線と共に運転され、銀座線においてはヘッドマークの取り付けや装飾等、内容については前年と同様の流れとなり、運行についても通常の運用に組み込まれた。

装飾については花火ライナーで使用していた編成(1編成)を装飾そのままに充当し、ヘッドマークについても花火ライナーで使用しているものの愛称名のうち、「花」を「華」に変更したものを取り付けて運転した。

ヘッドマーク:花火ライナー2号で使用したもので、赤字の側が1号車、黄字の側が6号車となっており、昨年と同様である。


 


 

平成11(1999)年

開催日

7月31日

運行番号
61
荻窪 発
17:34
浅草 着
18:21
停車駅
中野坂上・新宿・溜池山王からの各駅
編 成
37編成
行先表示
不明
ヘッドマーク
1星タイプ
車体装飾
窓ガラスに装飾

出典:メトロニュースNo.270(帝都高速度交通営団)

運転時間:本年の列車は例年と違う部分がいくつかあり、最大の特徴は1本のみの運転となった点である。
時刻としては例年でいう3号に相当する時間帯で、停車駅に変更はないが運転時刻は前年と比べると若干後ろ倒しになっている。

行先表示:不明

ヘッドマーク:1星タイプの愛称名から号数を取ったものを使用した。1号車が黒背景、6号車が青背景のものである。

車体装飾については、窓ガラスに花火をモチーフにしたイラストが貼り付けらたほか、乗務員室背後の戸袋に「花火LINER」の愛称つきイラストが貼りつけられた。

なお、本年に限ったものとして、開催一週間前の7月25日に花火ライナーの試乗会が行われている。メトロニュース等からの抽選を含めた160名が招待された。


 

【華火ライナー】


開催日

8月15日

編 成
37編成
ヘッドマーク
ホログラム調

 

東京湾大花火祭の開催に伴う「華火ライナー」については本年も日比谷・有楽町線と共に運転され、内容については前年とほぼ同様のものとなっており、運行についても通常の運用に組み込まれた。

装飾については花火ライナーで使用した編成(1編成)をそのまま使用している。ヘッドマークについても前年の華火ライナーのものを本年も使用している。

ヘッドマーク:前年赤字の側が1号車、黄字の側が6号車となっており、昨年と同様である。


 

 

本年をもって花火ライナー(直通列車)、華火ライナー共に運行を終了した。

 


【謝辞】一部編成については車警定位さんよりヘッドマークや充当編成の情報を頂いています

 


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