メトロカードアーカイブ


カードこぼれ話

 

 

カードにまつわる話題をいくつか

■企画

■コード重複

■フリーデザインの自由度(?)

■欠番

■見本いろいろ

■使用済みカードの活用

 


■企画

通常デザインには大きく分けて2種類があるといい、1つは営団の部署(営業部・業務部)で企画・発売が行われるもの(本社企画)、もう1つは駅が中心となり企画する(駅企画)ものである。

本社企画は車両デザインを始めとした、基本的に全駅発売のデザインを製作。メトロ美術散歩や路線図、記念柄などが該当すると考えられる。

 

対して駅企画は特定の駅が企画・立案により製作したもので、販売も原則駅務区内になっている。沿線デザインや錦絵、祭事系など、発売駅を限定したものや地域に関連したデザインが存在するのはこの為と考えられる。祭事/神田明神のように、中には複数の駅による合同企画となるケースもあったということである。

 

ただし、シリーズの一部で特定の発売駅を設けるケースもあり、発売駅のあるカードが一概に駅企画というわけではなさそうである。

 

 


■コード重複

カードには個別に割り当てられている発行用のコードがあるが、稀に異なるカードに同一のコードが当てられて重複しているケースが存在する。

コード重複が起きている場合、その殆どは通常柄とフリーデザインカードの組み合わせとなっている。
ただし、両者は
そもそもの発行区分(コードのアルファベット)が異なるため、本来であれば重複は起こりえないが、この場合、フリーデザインカードに本来使用しない「A」のコードが割り当てられている
何らかの理由によりフリーデザインをAの区分で製作した、と考えられるが、詳しい経緯についてはよく分からず謎である。

このほか、1994年に発売されたものでは記念柄2種がどちらも「B02」となっており、こちらは珍しいケースと考えられる。
断定ではあるが附番ミス?という可能性もありそうである。

 

(1)偶然?意図的?の重複コードの例

1992年 A10
路線図 フリーデザイン

 

 

1993年 A75
日本の自然 「雪の浄土ヶ浜」 フリーデザイン

 

 

1994年 B02

記念柄「ニューヨークを生きたアーティストたち」

記念柄「アメリカンフェスティバル'94記念」

 

 

1995年 A11
メトロ沿線ぶらり散歩「千鳥ヶ淵の桜」 フリーデザイン

 

(2)追加制作による重複の例

上記のような重複のほかに、以下のようなケースも存在する。

地下鉄沿線名所シリーズの「日比谷公園」は、本来1988年制作「A31」のデザインであるが、これは人気だったのか89年に入ってから追加制作されたものがあり、個別コードはそのままで製造年を変えているため、本来の1989年「A31」である「錦絵シリーズ/湯島天神」との間にコード重複が発生している。

1988年 A31 日比谷公園 1989年版 日比谷公園 コードは変わらず「A31」
コードは「A31B88」。 コードは「A31B89」。

 

 

1989年 A31(本来の1989年 A31)
コードは「A31B89」で、結果的に89年制作のA31が2種類存在することになってしまっている。

 

 


■フリーデザインの自由度(?)

フリーデザインカードにはその自由度の高さを生かしてか、中には面白いデザインのものがある。

 

(1)オリジナルデザインと同一柄

どのように版下を作成したのか興味のある一枚。
下部にロゴが入っているが、それ以外は一般発売の路線図と同一のデザイン。オプションに一般発売柄のベースパターンがあるのだろうか?

1995年 E28


こちらは初期発売時のラインカラーデザイン。しかし何かが…?車両がいません。
文字色を見る限り千代田線のデザインと推測されるが、発売額の横に「営団地下鉄」の表記が入っている点もオリジナルデザインとは異なる。

1991年 E97

 

(2)モデルデザインと同一柄

どのように版下を作成したのか興味ある一枚その2。
モデルデザインカードに同一のデザインが存在するが、あえてフリーデザインにより制作されている。
券面の仕上げもモデルデザインとは異なっているため、券紙を転用しているというわけでもなさそうである。

1995年 F42

 

(3)美術展記念?

美術展記念のカードだが、フリーデザイン。台紙も付属している。
会場で配布か販売を想定したものと考えられるが、営団非公式の美術展記念デザインの存在を裏付ける(?)一枚。

なお、展示会なども含めると同様の制作例と考えられるものが他にも存在する。

1989年 F28  

 

(4)2枚でひとつになるデザイン - メトロカード同士

栃木県が制作したカードは2枚のカードを並べると1枚の連続した写真になる。

1994年 E97 E96

 

(5)2枚でひとつになるデザイン - 異種カード同士

営団中目黒乗務区が制作したカードは2枚の別撮りカードを並べると1枚の連続したような写真になる。ただし片方はテレホンカード。

テレホンカード 1994年 F74

 

 


■欠番

1988年のB07は存在しない。

 


■見本いろいろ

定期券うりばやメトロカード発売機には、購入用の参考としてデザインの見本が展示されていることが多かったが、殆どの場合この見本はデザインが印刷された無色のカードで、裏面には基本的に磁気部を持っていない。

当初より見本用として製造されているカードであると考えられる。

時期によっては判別の為、隅に丸いパンチ穴が開けられているものや、「VOID」の文字状に細かいパンチ穴を意図的に開けているものもある。
また、カードによっては通常と同じ磁気カードを使用(ただしエンコードはされていなかったと思われる)し、上記のパンチ穴を開けることで見本としていたケースもあったようである。

一見すると通常のカードであるが券面デザインのみ。磁気部はなく裏面は無地になっている。判別のためコードを手書きしているケースが多い。

 

 

VOIDのパンチ穴が開けられているもの

 

 
丸いパンチ穴が開けられているもの

 

 


■使用済みカードの活用

駅によっては、使用済みカードを使用してしおりを製作したり、駅貼りアートとして活用方法を考えていたこともあった。

駅貼りアートは過去新橋駅のほか白金高輪駅でも見ることができたが、いずれも職員のアイデアにより駅独自に制作されたものと考えられる。

 

 

 



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